適応障害とストレスコーピング

適応障害とは

自身の置かれている状況に原因があることがはっきりしていて、気分の落ち込みや、身体症状があらわれているときに診断されます。特定の症状はなく、人によって様々な症状がみられます。若干、うつ病とは異なる症状を呈しますので、うつ病との鑑別のために医師の診察を受けておくほうがよいです。というか、そもそも適応障害だと自己診断してはダメですね。問題となっている環境が改善されれば、症状はすみやかに消失します。消失しない場合は、心的外傷後ストレス障害 PTSDに診断名が移行する場合もあります。治るためには、服薬と休養だけでは足りませんので、カウンセリングに来ることをおすすめします。

認知療法で症状の軽減が見込めます

適応障害は、社会不適応ではありません。一時的であったり一部分うまくいかなかったということです。また、一般的には環境に適応できなかったという説明が多いですが、正確には自身に湧いた強いストレスに適応できなかったということです。なので、環境を調整するだけが解決方法ではありません。ストレスの処理の仕方(ストレスコーピング)を身に着けることも大切なことです。カウンセリングでは、認知療法を中心に行います。

ストレスコーピングの種類

大きく分けると、問題焦点型のストレスコーピングと、情動焦点型のストレスコーピングの2種類があります。原因となる問題を解決しようとするのか、結果として感じているストレスをどうにかするのかという違いです。

問題焦点型のストレス解消法

問題焦点型ストレスコーピング

ストレスとなっている問題自体を解決しようとする対処方法です。ストレス源となっている相手に直接自分の思っていることを伝えたり、あるいは相手から離れたり、自身の足りていないスキルを努力して身につけることで乗り越えようとします。原則、これは現実的に対処するという意味では、最重要ストレスコーピングだと思いますが、何事にも限度というものがあります。こればかりすると、適応障害というよりうつ病になります。その他のコーピングスキルも身につけましょう。

社会的支援探索型ストレスコーピング

周囲の人や専門家に相談する形のストレス対処方法です。他の人の意見を取り入れた後に、自分で行動するか、あるいは誰かに頼んで問題解決をしてもらおうとする場合です。弁護士に相談するなどがこれにあたります。カウンセリングを探している方の中にも、話を聴いてもらいたいというだけでなく、心理学的なアドバイスを受けて行動につなげていきたいと考えている方は多くいらっしゃいます。その他のストレスコーピングも大切ですが、これは孤立無援感の軽減につながり、ひいては自殺予防にもつながるので、もっと推奨されるストレスコーピングだと思います。

情動焦点型のストレス解消法

認知的再評価型ストレスコーピング

物事の捉え方や考え方を変えてみることでストレスを軽減する方法です。認知行動療法における認知再構成法と同じです。詳しく知りたい方はこちらをお読みください。

情動処理型ストレスコーピング

気持ちを言葉にして吐き出す方法です。カウンセリングにおける来談者中心療法ではこれが行われます。起きた出来事を淡々と話すのではなく、できるだけ気持ちに一致した言葉で表現することが大切です。汚い言葉を使えば使うほどスッキリしますが、日常ではあまり叶いませんので、ぜひカウンセリングに来て、「バカ上司!てめー、ふざけんな、マジで使えねー!仕事しろ!お前のくだらねー話なんか聞きたくねーんだよ!死ね!」とぶちまけてください。カウンセラーにとってそれを聴くことは負担ではなく、むしろ、言えてよかったなと感じるものなので。

気晴らし型ストレスコーピング

これは一般的に言われているほど手放しではおすすめできません。気晴らし型のストレスコーピングには実は2種類あって、そのうち1つは依存症に直結するのでむしろやめさせています。もう1つはむしろ積極的に勧めています。2種類に名前をつけて分けるとしたら、消費型と生産型です。

消費型ストレスコーピング

映画を見たり、音楽を聴いたり、旅行に行ったりして気分転換をする方法です。これら自体に問題はないのですが、できれば、ストレスを軽減するためではなく、そのものを楽しむために行ってほしいと思います。

問題となるのは、飲酒、買い物、ギャンブル、インターネット、性行為、食べ物でのストレス解消です。これらは依存症につながります。映画や音楽、旅行などに比べて刺激が強く即効性があり、ストレスを吹き飛ばすのに効果的ですが、だからこそ習慣になりやすく、その他の行動をほとんどとらなくなってしまいます。また、これらの刺激にはどんどん慣れてしまい、より強い刺激を求めるようになり、依存症が形成されてしまいます。やめましょう。

生産型ストレスコーピング

楽器の演奏や、ダンス、スポーツといった技術的なことや、絵を描いたり、物を作ったりといった作品作りをすることです。先述した消費型のストレスコーピングとは異なり、自分の中に知識や技術が蓄積されていきます。自分が何者であるかというアイデンティティ形成にもつながり、内面から自信を持てるようになります。もちろん、ストレスに対しても強くなります。良い面が多いので、カウンセリングに来た方には、これを勧めています。心理学的には、昔、昇華なんて言われ方をしていたものです。芸術家が内面の鬱屈を社会に受け入れられるように作品として昇華する、という感じです。一般的には、自慢になりすぎない程度に技術や作品を人に披露するのが大切です。つまり、こういうことです(↓)。