イライラへの相談・カウンセリング
イライラの原因は「わからない」です
イライラの解消はカウンセリングでは主要なテーマです。別の相談で来所されても、たいていイライラの解消に取り組まれるか、あるいは取り組まなくても、例えば不安に対して認知行動療法に取り組んでいるうちに、自然とイライラに対しても考え方の修正ができるようになっていたりします。
人はなぜイライラするか考えてみたことはあるでしょうか。「イライラなんてみんなするでしょ?」と当たり前になりすぎてはいませんか。「私はちゃんとしてるのに相手がいい加減なことをするんだからイライラして当然」、「うまくいってない時にイライラするのなんて普通でしょ」と思っていませんか。
いいえ、相手がいい加減なことをする理由がわからないからイライラするんです。うまくいっていない理由もわからないし、どうしたらいいのかもわからないからイライラするんです。なんでこうなったのか、今自分が何をすればいいのか、そうしたらこうなる、とわかる時に人はイライラしません。「わかってるんですけどね」と言う時も、たいていはよくわかっていない時です。
物事を理解できていないという自分側の要因で、人はイライラするのだということが伝わりましたでしょうか。あんまり納得できませんか?イライラしてしまいますか?イライラという文字が多すぎて読んでいてイライラしてきましたか?
信じられないかもしれませんが、イライラは相手が自分にもたらすものでも、外から入ってくるものでもなくて、自分の内側から湧いてくる自分が生み出しているものだったんです。「イライラさせないでよ」と今まで相手のせいにしてきたのは間違いだったのかもしれません。そこを認めることがイライラ解消への道の第一歩です。一緒に考えていきましょう。
認知行動療法でイライラは軽減します
認知行動療法は、考えを修正することで感情を変化させる心理療法です。ついでに、物事を現実的に理解するための考え方も認知行動療法は教えてくれます。具体的な例で説明してみます。
例.出かける10分前になっても着替えずスマホをいじっている息子にイライラする
「あー、わかるー。それイライラするよね」、「あるある」という複数のお母さん達の声が聞こえてきそうです。でも、その声の中に一人「あ、私、そういうの意外と平気」というお母さんの声も聞こえてきます。平気なお母さんは、そういう息子さんに対して、イライラせずにいられる何らかの方法を持っているんです。「だって、どうせ鍵おいて、私が先に出てくれば急いでついてくるし」とか。息子さんの動きを理解しているし、自分が取る方法も理解できている状態ですね。こういう時には、認知行動療法は必要ありません。
イライラする原因となる考えを探ってみよう
一見、おかしくはなさそうに聞こえますが、でも本当にそうかな?極端な考え方をしてないかな?と落ち着いて振り返り、自らの考えに反論してみるというのが認知行動療法の基本姿勢です。
- 考え① 10分じゃ着替えて出かける時間に間に合わないじゃない。
- 考え② いつもスマホばっかり。スマホより先にやることあるでしょう?
自分の考えに反論してみよう
- 反論① 着替えだけなら数分あれば間に合うか
- 反論② 家にいる時しかできないか。スマホが何より大事な年頃よね。
なんて優しい考え方でしょう。甘やかしていると感じる人もいるかもしれませんが、実は反論の内容の方が息子さんの気持ちや行動を理解している現実的な考え方なんですよ。もとの考え方のほうが誇張されていて現実が見えていません。
理解できた状態
「息子は、学校ではあんまりできないから、家ではスマホをいじっていたいんですね。着替えは数分あればできると考えてギリギリまで」
これが理解です。イライラしたニュアンスはあまりないですよね。呆れた感じ、諦めた感じはあるかもしれませんが、このくらいになれば充分ではないかと思います。歪んだ考え方をしているときこそ怒りが湧くということが、なんとなくわかってもらえるとうれしいのですが。
考え方の修正のポイントは、自分で自分の意見に反論するということです。人に修正してもらっていては感情は変わらないんです。夫に反論されたらキレるでしょう?自分で自分の意見に反論するからこそ、思い直せた、極端な考えを修正できた、そんな自分のことを肯定的に受け止められて、イライラする気持ちが少しおさまっていくんです。
イライラに対する認知行動療法について少しはイメージできましたか?とはいえ、この記事を読んだだけでできるようになる程度なら、認知行動療法なんて大層な名前はつきません。認知行動療法の時のカウンセラーはコーチのようなものなので、カウンセリングルームで一緒に練習していきましょう。