発達障害
発達障害の検査を受ける前に
発達障害は、診断名をつけてほしいという方が非常に多いです。これまで失敗してきたことがもしかしたら自分の努力不足のせいではなく、生まれ持った障害のせいかもしれないのなら、はっきりさせたいと思うのは当然の気持ちだと思います。なので、発達障害かもしれないと感じている方は、知能検査や発達検査を受けてみてもよいとは思います。しかし、1つの検査を受ければどの発達障害かわかるといった、全てを網羅している検査はいまだありません。検査を受ければ自分の状態がはっきりするかも!という強い期待をもって受けられてしまうと、検査結果の報告にモヤモヤするかもしれません。
また、パーソナリティ障害であろうと思われる方も、発達障害の検査を受けたがります。パーソナリティ障害という診断名は耐え難いけど、発達障害ならいい。発達障害と認められれば、パーソナリティ障害ではないだろうという考え方ですが、実際には発達障害をベースに持ったパーソナリティ障害という捉え方になるだけです。自分がつけてほしい診断名を手に入れようとするのは控えましょう。
発達障害の種類
発達障害は一つの状態を示すものではなく、大きなカテゴリーを表す名称です。はっきりと特徴がみられるようになるのは、3~6歳ですが、生まれ持った気質的障害であると考えられています。突然高校生になって発症するというものではありません。大人の発達障害という言い方もありますが、大人になってから発症したのではなく、発達障害をもった方が大人になった場合の特徴のことを表しています。
発達障害には、大きく分けて3つのタイプがあります。自閉スペクトラム障害、学習障害、注意欠如多動性障害です。自閉スペクトラム障害は、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー障害に分かれます。学習障害は、読む、書く、計算するの3つの下位分類か、そこに話す、理解する、推論するの3つを加えた6つの下位分類に分かれます。注意欠如多動性障害は、不注意だけのタイプ、多動性と衝動性が強いタイプに分かれます。ここに知的障害を加えると下図のような重なり方になります。
発達障害の下位分類については、その一つ一つの内容が長くなりますので、知的障害以外は別の記事にまとめておきました。参考にしてください。
学習障害 LD
注意欠如多動性障害 ADHD
自閉スペクトラム障害 ASD
知的障害
知的障害は、知能指数(IQ)が70以下の場合に診断または認定されます。診断には知能検査を使用します。知能指数は平均値を100として、70~130の間に全人口の約95%が入るように設定されていることから、知能指数70以下の知的障害の方は、いつの時代にも常に2.5%程度いることになります。知能指数は同年代の平均的な知的発達から、どの程度離れているかという目安になります。年々、同年代との差は広がってしまう場合が多いですが、それでも部分的にですがゆっくりと成長していきます。他人との比較ではなく、その人自身の過去と比較して、成長を喜びましょう。