ひきこもりの相談・カウンセリング
ひきこもりは”3つの間”がポイント
外出できないことだけがひきこもりではありません。外出はできるけれど、社会参加をしていない場合は、社会的ひきこもりと言われます。カウンセリングルームセンター南では、ひきこもりの特徴を、時間からのひきこもり、空間からのひきこもり、人間からのひきこもりと分けて捉え、それら3つの間を回復していくことが重要であると考えています。
時間からのひきこもり
時間の感覚が消失すると、自分がどのくらいひきこもっているのかすぐにはわからなくなります。わかりたくもないので、わからないままにして、ひきこもりは長期化してしまいます。
まず、ひきこもると、起床時間と就寝時間を決める必要がなくなるので、一日という時間の感覚が消失していきます。朝寝て夕方に起きると、今日が何日なのかわからなくなることもあるようですが、月や日付はかろうじて把握されている方が多いようです。好きなアニメや週刊誌など、毎週楽しみにしていることがあると、曜日だけは完全に把握しています。近年は、YouTube等の動画配信サイトを見ているひきこもりの方が多く、固定曜日の配信ではないものを見るタイプのひきこもりの人は、曜日感覚がきれいに消失します。外出しないので、季節感もなくなってしまいます。
空間からのひきこもり
空間からのひきこもりが、いわゆる一般的にイメージされているひきこもりです。空間からのひきこもりには大きく分けて3つのタイプがあります。数字が大きいほど困難な状況です。
- 学校や仕事には行けないが、コンビニ等には行ける。
- コンビニにさえ行くのが苦痛で、ほとんど家にいる。
- 家族と顔を合わせずリビングにも出ず、自室にいる。
働くことを望んでもよいのは、1の場合だけです。2や3の状態のひきこもりの方が、いきなり働くことを望んではいけません。無謀すぎます。空間からのひきこもりの段階がどこなのか把握し、まずは1つ上の状態を目標にしましょう。特に3の状態の場合は、本人がどうこうするというより、家族が本人にとっての障壁となってしまっていることが問題なので、本人より先に家族がカウンセリングに来た方がいい場合が多いです。
対人関係の不安がなく、コンビニどころかどこにでも行けてしまう場合はニートと呼ばれ、それはまたひきこもりとは違う対応が必要です。
人間からのひきこもり
人間関係からのひきこもりは、段階といえるほどはっきりしたものはなく、ひきこもりの各人それぞれです。
- 友人と会える
- 友人はいないが家族となら話せる
- 家族とは話さないがネットではやりとりしている(ようだ)
父親とだけ話さないというケースのひきこもりの場合は、父親がカウンセリングに来ることが最も効果的です。本人への接し方に明らかに問題がある場合がほとんどだからです。父親自身の考え方や接し方を変えることは、息子(娘)に負けることではありません。年老いてなお変わっていける立派な男性モデルとなります。カウンセラーはその協力をするだけなので、変なプライドを捨ててから来所してください。
ちなみにネットの人間関係はかなり重要です。年配の方にはわからないとは思いますが、決してバカにしたり軽んじないでください。ひきこもりの方自身も、所詮上辺の関係ですよとか、別に切ろうと思えばいつでも切れるとか言わないで大切にしてください。ネットの向こう側にいるのは紛れもなく人間です。
ひきこもりへのカウンセリング
カウンセリングには、3つの間を安全に回復していくための機能が全て揃っています。カウンセリングは週に1回ないし2週間に1回、固定の曜日で行われるため、曜日感覚と1週間という単位の時間感覚が蘇ります。また、カウンセリングは日中行われるので、昼夜逆転もある程度改善されます。空間については、カウンセリングは外出先としてひきこもりからの回復に直結します。カウンセリングを続けると、道中での出来事が適度な刺激になったり、前後の時間に近隣の商業施設に立ち寄ったりすることが増えていきます。そして、カウンセリングルームにはカウンセラーという家族でも友人でもない新しい関係の人間がいます。最初は信用できなかったり、怖いと感じてしまうこともあるでしょうが、まずは50分間だけ人と接する練習をしよう、くらいに考えてもらえたらと思います。カウンセリングに来て何を話すかは自由です。望まれるなら例えば、対人恐怖についてなら認知行動療法を、家族への不満なら傾聴を、トラウマに関することなら暴露療法的なアプローチをします。
以上がカウンセリングルームセンター南のひきこもり相談の基本方針です。いろいろと配慮してはいるのですが、それでも当事者にとっては多少厳しい感じがするかもしれません。実際には、方針を持って支援することは、効果を求めてリスクのあることをするということでもあり、本人や家族の考え方と多少ぶつかってしまうこともあります。そういう時は、本人や家族の考え方を取り入れてできることをしていきたいと思っています。無理やり当ルームの方針を押し付けたりはしませんので、一緒に考えていきましょう。